「スマート農機」が続々登場!2016年、農機×ロボットの現状と展望

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農業ロボット

昨年2015年は、自動運転の自動車やドローン、ソフトバンク社の家庭用ロボット「pepper」など、いわゆるロボットの分野の話題が世間的にも注目された年でした。
現在、様々な分野でロボット開発がめまぐるしく発展しており、もちろん農業という一大産業においても例外ではありません。

また、TPPの発効を前に、政府は「攻めの農業」を掲げ、国内農業の競争力を高める施策を進めています。それに歩調を合わせるかたちで、各農機メーカーも生産性アップのための商品開発が活発になってきました。
農業の担い手の減少によるロボット農機の需要拡大が見込まれているのも、そういった流れの追い風となっています。

今回は、そんな今注目の農業用ロボットについて考えました。
導入をお考えの生産者の方にとっても検討のきっかけの一つになれば幸いです。

農業用ロボットがもつ主な技術・特徴

人間の農業においては、実は数十年も前からロボット活用の研究は進められてきました。
近年、様々な技術の応用・イノベーションによって、より効率的に・またより精密に、
人間の代替かそれ以上の成果が期待出来る機能が実用化されています。

農業ロボット

自動運転

人間が直接運転せず、自律的に走行します。
無人で動くため人の手が必要ありません。

例:無人トラクター

農業ロボット

遠隔操作

体を動かすこと無く、コントローラを使って人がロボットを操作する機能です。
空など人の手が届かないところや危険なところなど、人間の代わりに作業させるときに応用されます。
タブレット端末等から操作する技術も進んでいます。

例:農薬散布ドローン、空撮ヘリ

GPS連動

広範囲の圃場での作業時など、取得した位置情報と設定した経路を照らし合わせながら自動で作業を行います。

例:自動田植機

農業ロボット

精密に計算された動き

高精度の認識・判断と、無駄のない緻密な動きを実現します。
特に果実の収穫時やピンポイントに害虫を駆除する時など、
作物を傷つけないよう気を遣う必要のある場面では重要視される技術です。

例:収穫・摘み取りロボット、害虫駆除

農業用ロボットのメリット

ロボット技術やICTといった先端技術を活用したいわゆる「スマート農業」については、
農林水産省の『スマート農業の実現に向けた研究会』によって、

  1. 超省力・大規模生産を実現
  2. 作物の能力を最大限に発揮
  3. きつい作業、危険な作業から開放
  4. 誰もが取り組みやすい農業を実現
  5. 消費者・実需者に安心と信頼を提供

の5つの実現イメージが挙げられています。
このなかからロボットに着目して以下に簡単にまとめました。

生産効率の向上

生産効率のUPこそ、ロボット採用の主な理由です。
現状人の手によって行われている作業をロボットに任せる、またはサポートさせることによって、時間を短縮し、無駄な作業を削減することが可能になります。
また、各作業において精密な動きによって無駄がすくなく、省エネかつ、使用する肥料や農薬などの量を削減できます。

業務の担い手として

農業における人材不足は年々深刻化しています。
一方で、世界の人口は拡大し続けており、野菜を始めとした食料の生産量も向上させていく必要があります。
ロボットはそういった問題の中、新しい業務の担い手として期待されています。
また、人間の頭や身体で蓄積してきたノウハウも人工知能でデータを解析・記録・学習させることで、
近い将来に完全無人で自動化させることも実現が見込まれています。

そのほか、必要最低限の量の農薬をピンポイントで使用することによる減農薬の実現や、
危険な作業をロボットに任せることによる安全の確保など、さまざまなメリットが考えられます。

今後の課題

各社が農業用ロボットの商品化・実用化を推し進める中、目下の課題は安全性確保と法の整備です。
1月15日、農林水産省は、3月までに事故防止や安全確保のための指針を作成することを決めました。
安全指針では、「農業用ロボット」にあたる技術の定義をしたうえで、使用可能な環境やロボットの使用者に求められる条件の規定が行われます。
また、機器を使いこなすためのサポート体制や、ITに精通した人材を業界として育成していくことも長期的な課題となります。

また、コストの問題もまだまだ残ります。
数年前から比べれば価格は下がってきたとはとはいえ、数100万円から1000万円以上のものまであるというのが現実です。
農機市場の拡大につれてコストは徐々に下げていくことは可能ですが、
現状の小規模の生産農家に簡単に導入出来る余裕はなく、全国の農家に浸透させていくにはまだ時間が必要ではないでしょうか。
政府主導の援助や、機能を絞った低価格機の提供が求められています。

現状いくつかの課題はありますが、
ロボット活用を始めとする「スマート農業」の時代は確実にやってきます。
これから日本の農業を支える分野の一つとして、動向は常にチェックしておきたいところです。

ロボット技術と連携して力を発揮するICT分野についても、また記事にしていく予定です。