伝統野菜in岩手 安家地大根

「安家地大根」

辛味が強く、鮮やかな紅い色は食卓に彩りを添えてくれます。

この大根の最大の特徴は、繊維質が多く貯蔵性が高いことです。

青首ダイコンの1.5~2.0倍のビタミンCを含んでおり、それだけに寒さ厳しい岩泉町安家地区の冬の素材としてかかせず「命の糧」として大切に伝えられてきました。

干し大根以しておいて煮物や汁物に入れたり、干し葉をゆでて冷凍保存して干し葉汁にするなど大切に無駄なく食されてきました。

戦前は安家地区のほとんどの農家が安家地大根を栽培していましたが、戦後種苗会社による種の販売が普及し、全国的に青首大根が広がる中で生産農家は減っていきました。

毎年自分で種を採るより、種屋さんの種を買う方が簡単だからです。

また、固くて水分の少ない安家地大根は寒冷地での貯蔵性に優れていましたが、流通や冷蔵技術の発達により、保存食の必要性が薄れたことも栽培の減少につながりました。

一時は絶滅の危機にあった安家地大根ですが、「安家地区にしかない貴重な大根を未来に伝えよう」との機運が高まり、

イタリアに本部を置くスローフード協会が未来に残すべき食材として「味の箱舟」にリストアップしたことから、地域の宝物として広く認識されるようになりました。

現在では「安家地大根保存会」ができ、安家地大根の食文化も伝承されています。

【美味しい食べ方】

辛み大根として蕎麦や豆腐田楽、短角牛肉の薬味に

加熱すると甘みが残るので、天ぷらなど様々な料理に

大根おろしとして使う(赤もみじ)
-美しい色合いで、食卓に自然な彩りを添えることができます。

出回る時期:10月~12月