消費者が知らない食品ロスの意外な要因

はじめに

平成28年3月18日に第三次食育推進基本計画が決定・発行されました。

これには5つの重点課題があり、

  1. 若い世代を中心とした食育の推進
  2. 多様な暮らしに対応した食育の推進
  3. 健康寿命の延伸につながる食育の推進
  4. 食の循環や環境を意識した食育の推進
  5. 食文化の継承に向けた食育の推進

となっています。

今回は「食の循環や環境を意識した食育の推進」に入る、食品ロスについてみていこうと思います。

Woman Scraping Food Leftovers Into Garbage Bin


現在の日本の食品ロス

H25年度推計の1年間に出た食品ロスは632万トン。

これは世界の食糧援助量のおよそ2倍に当たります。

個人の食べ残しも大きな要因の一つですが、ほかにも食品ロスにつながる商習慣が存在します。

【流通における、3分の1ルール】

皆さん、3分の1ルールというのをご存知ですか?

これは・・・

食品や飲料品が流れていく製造日から賞味期限までの期間を3等分に区切り、それぞれの流通段階の期限とするもの

とされています。

具体的にいうと、7月1日に製造され、10月1日が賞味期限のものは、

8月1日までに卸やメーカーから小売りに渡らなかった場合→廃棄

さらに9月1日までに小売りから消費者に売れなかったら→廃棄

となります。

これと同じような習慣が海外にもあるので、7月1日製造、10月1日賞味期限の設定で、アメリカ・フランスと比較してみたいと思います。

卸・メーカーから小売りへの保管期限 小売りから消費者への保管期限
日本 8月1日 9月1日
アメリカ 8月15日 9月1日
フランス 9月1日 9月1日

このように、海外のほうが緩い基準を設けていることがわかります。

アメリカのようなルールを実験的に行った結果

一度、食品メーカーや卸・小売りが連携してアメリカのような2分の1ルールを行った結果、飲料ケースのロスが

3分の1ルール時 200ケース以上

    ↓

2分の1ルール時 3ケース

に減少したという結果が出ています。

そもそも賞味期限とは?

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賞味期限 Best-before

おいしく食べることができる期限です。

この期限を過ぎても、すぐ食べられないということではありません。

定義:定められた方法により保存した場合において、期待されるすべての品質の保持が十分に可能であると認められる期限を示す年月日をいう。ただし、当該期限を超えた場合であっても、これらの品質が保持されていることがあるものとする。


消費期限 Use-by date

期限を過ぎたら食べない方が良いんです。

定義:定められた方法により保存した場合において、腐敗、変敗その他の品質の劣化に伴い安全性を欠くこととなるおそれがないと認められる期限を示す年月日をいう。

出典:農林水産省HP(http://www.maff.go.jp/j/syokuiku/kodomo_navi/featured/abc2.html)

まとめ

上記のように賞味期限に関しては、過ぎてしまったとしても当面品質を保持できるものが多く、賞味期限が切れたからといってすぐに捨ててしまうのはもったいないことです。

また、3分の1ルールは約20年前から始まった商習慣で、特に根拠があるわけではなく、消費者の「新鮮なものが食べたい」という強い要望に応えたものだといわれています。

たしかに新鮮なものも良いですが、食品ロスのことも考慮に入れて買い物をすることも大切かもしれません。